イントロダクション

選んだ数だけ、人生は形を変えていくーーテグ・ソウル・プサン 3つの“もしも”を生きる男が見つけた、本当の自分。

第11回ソウル国際プライド映画祭オープニング作品として上映され、韓国で話題を呼んだ作品がいよいよ日本公開。青春時代のやるせなさを抱える男が思い描くのは、「もしも、あの時に戻れたら…」「もしも、愛を告白できていれば…」。誰もが一度は考えてしまう、人生の分岐点で“選ばなかった”もう1つの道。別の選択をしていれば、どんな現在を生きていたのだろうかーー。そんな、後悔とも未練ともつかない気持ちで生きるすべての人へ贈りたい、“もしも”のパラレルワールド。3つの人生を生きる男を演じたのは、「パンドラ 小さな神の子供たち」のシム・ヒソブ。繊細で脆く複雑な心情を、確かな演技力で示した。その青年時代を、『このろくでもない世界で』でソン・ジュンギと共演し、注目を集めたホン・サビンが好演。さらに、「イカゲーム」のキム・ジュリョンなどの他、「かくれんぼ」のソン・チャンウィが特別出演を果たす。メガホンを取ったのは、デビュー作『葬式のメンバー(原題)』で、ベルリン国際映画祭など海外の名だたる映画祭に招待され、インディペンデント映画界を代表する監督としての地位を築くペク・スンビン。心の奥底に仕舞い込んだ思いと向き合い、まだ知らない新たな自分に出会える、切なくも温かい、誰も観たことがない韓国映画のパラレルワールド傑作が誕生した。

ストーリー

憧れの彼との別れから25年。想いを告げられなかった青年は、今も愛を探している。

1995年、テグ。不仲な両親や学校でいじめられる日々に鬱憤を募らせていたドンジュンは、カリスマ性溢れる男友達のカンヒャンに恋をした。しかし、彼との穏やかな日常は思いがけない事件で終わりを迎え、カンヒャンはテグを去ってしまう。想いを言葉にできず、後悔を抱えたまま大人になったドンジュンは、不幸で惨めだと感じる人生を消化しながら、ふと思うーー「もしあの時、別の選択をしていれば…?」 テグで高校教師になる運命、ソウルで大学教授になる運命、プサンで父親になる運命。3つの異なる2020年秋を生きるドンジュンは、足りない何かを探し続け、やがて本当の自分を見つけて行くーー

キャスト

シム・ヒソブ

ドンジュン役

1986年生まれ。2012年映画デビュー作の『1999,面会〜サンシャイン・ボーイズ』で第17回釜山国際映画祭 韓国映画監督組合賞(男優部門)を獲得。韓国で観客動員数1,100万人を突破したソン・ガンホ主演の『弁護人』(13)では、短い出演シーンながら重要な役を演じて注目を集めた。その後、「逆賊-民の英雄ホン・ギルドン-」(17)「愛の温度」(17)「パンドラ 小さな神の子供たち」(18)など、ドラマ界にも活躍の場を広げる。独特な佇まいと細やかな感情表現で、あらゆる役に深みをもたらす実力派俳優。

ホン・サビン

ドンジュン(青年期)役

1997年生まれ。大学在学中の2018年に俳優デビューし、『休暇(原題)』(18)『爆炎(原題)』(19)など、約80本の短編映画にて演技を磨く。第76回カンヌ国際映画祭に公式選出された『このろくでもない世界で』(24)で長編映画初主演を飾り、暴力と貧困に喘ぐ18歳の青年を熱演。第8回ロンドンアジア映画祭のライジングスター賞、第44回青龍映画賞の新人男優賞を獲得するなど、国内外から称賛を受ける。『脱走』(24)でも多くの反響を呼び、次世代の韓国映画界を背負う逸材として注目を集めている。

シン・ジュヒョブ

カンヒャン(青年期)役

1993年生まれ。2017年、ミュージカルでデビューを飾り、舞台活動で研鑽を積む。映像作品では、「ゴールデンスプーン」(22)『同感~時が交差する初恋~』(22)といった話題作に出演。マネージャー役を演じた「無人島のディーバ」(23)ではOSTにも参加し、儚くも力強い歌声で物語に彩りを添えた。近年の出演作は、「卒業」(24)『黒い修道女たち(原題)』(25)「労務士ノ・ムジン(原題)」(25)など。

キム・ジュリョン

ドンジュンの母親役

1976年生まれ。2000年に俳優デビューし、多様な映画作品でキャリアを築く。2017年にはドラマ界に足を踏み入れ、「アンダンテ〜恋する速度〜」(17)「SKYキャッスル」(18)に出演。世界中で大きな反響を呼んだ「イカゲーム」(21)では大胆な体当たり演技を披露し、一躍注目の的に。その後、「輝くウォーターメロン~僕らをつなぐ恋うた~」(23)「涙の女王」(24)でも、名バイプレイヤーとして作品にスパイスを加える。

スタッフ

ペク・スンビン

監督・脚本・撮影

1977年生まれ。韓国映画アカデミー(KAFA)出身。2007年、ジョン・ファウルズの小説『フランス軍中尉の女』を原作とした短編映画が、ミジャンセン短編映画祭のエクストリーム・ナイトメア部門で最優秀作品賞を受賞し、批評家から注目を集める。韓国映画アカデミーの長編映画制作研究プロジェクト「KAFA FILM」の第1作目として、長編映画デビュー作『葬式のメンバー』(09)を監督。同作は、釜山国際映画祭ニューカレンツ部門でNETPAC賞を受賞。さらに、第59回ベルリン国際映画祭にも正式招待された。韓国インディペンデント映画界を代表する気鋭の監督として、国内外でその才能が認められている。